12/3_日本歌謡学会創立60周年令和5年度秋季大会_新作能『大和椿』

新作能《大和椿》 小書 大和舞              作 泉紀子

日本歌謡学会創立60周年 令和5年度秋季大会

令和5年12月2日(土)・3日(日)

第4部 公開芸能実演 12月3日(日)午後2時~午後4時

(於:関西外国語大学 中宮キャンパス マルチメディアホール)

続く疫病、災害、戦いに国は荒れ、人は疲れ果てていた。「歌うたう花を探せ」。帝の夢の中で妙なる声が告げた。帝の命を受け、多くの臣下が都を出て歌うたう花を探す旅に出たが、花を見つけられずに多くの者が命を落としていった。一人の臣下が、花を探し続けて百日目に、大和国の奥深い山中で、はるか昔よりこの山に住むという不思議な山人に出会った。山人は、昔、吉野川に流れ来た美しい花が仙女に身を変え、歌をうたい、舞を舞いつつ奥山に飛び去ったとの伝説を物語り、臣下は吉野川に向かう…                  

演者プロフィール

◇白椿の精 岡本知子(おかもと・ともこ)

シテ方宝生流。教授嘱託師範。故辰巳孝師、辰巳満次郎師に師事。同門会「宝珠会」を主宰。奈良県在住の宝生流愛好家の会「大和宝生会」代表。1991年、初シテ《班女》。以後、《百萬》《葵上》《井筒》《杜若沢辺の舞》《三輪》《隅田川》《邯鄲》のシテをつとめる。公益社団法人能楽協会正会員。

◇地謡 辰巳大二郎(たつみ・だいじろう)

シテ方宝生流能楽師。二十代宗家宝生和英、叔父辰巳満次郎に師事。代々能楽師の家に生まれ、1989年《鞍馬天狗》花見で初舞台。子方を経て、2006年初シテ《経政》。2018年《石橋》、2020年《道成寺》、2022年《乱》を披く。同門会「橙白会」を主宰する他、山形県酒田市の庄内能楽館を始め日本各地の舞台、稽古場で普及発信活動を行っている。新作能《マクベス》《オセロ》《王昭君》の地謡をつとめる。公益社団法人能楽協会正会員。

◇笛 貞光訓義(さだみつ・のりよし)

森田流笛方能楽師。祖父貞光義次、父貞光義明に師事。1970年、舞囃子《猩々》にて初舞台。1982年《翁》を披く。以後、《猩々乱》《石橋》《道成寺》《望月》《清経 恋之音取》《卒塔婆小町》《鷺乱》などをつとめる。重要無形文化財能楽総合指定保持者。公益社団法人能楽協会正会員。

◇仙女 高安美帆(たかやす・みほ)

8歳より浪速神楽をはじめる。近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻に入学し、演劇、舞踊を学ぶ。同大学卒業後、俳優としてエイチエムピー・シアターカンパニーに参加。近年は、振付演出家として「神楽」や「伝統芸能」「水墨画」をモチーフにした作品制作をはじめ、伝統と現代をつなぐプロジェクトを様々な芸術家と共に立ち上げている。エイチエムピー・シアターカンパニー、舞夢プロ所属、NPO法人大阪現代舞台芸術協会理事

◇山人 岸本昌也(きしもと・まさや)

2006年より神楽をはじめる。京都造形大学卒業。座・高円寺 劇場創造アカデミー修了。自身の出自である神楽の身体性を用いて作品を発表するとともに、古典芸能・郷土芸能のリサーチ活動を行う。石見神楽瓜生山舞子連中所属。舞台俳優として国内外の作品に出演し、近年は「地点」(エイチエムピー・シアターカンパニー)、「したため」(BEBERICA theatre company)などの舞台作品に参加。

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日本歌謡学会では、日本の歌謡を、文学・民俗・芸能などの分野を分かたず、また世界をも視座に入れて、古代から現代に至るまで、広範な視点での学術研究に取り組んでいます。今回、創立60周年記念として”芸能実演”を復活させましたが、従来の伝統芸能や各地の民俗芸能の実演とは趣向を変えて、新作能《大和椿》より、歌謡とも深くかかわる大和舞・神楽の部分の試演を鑑賞していただきます。能と神楽のコラボレーションという新しい試みの新作能です。能楽師と演劇人が挑戦する意欲的な舞台をお楽しみください。 (日本歌謡学会 米山敬子・西川学)

【お問い合わせ】日本歌謡学会創立60周年記念大会

〒573-1008 大阪府枚方市御殿山南町6-1 関西外国語大学 御殿山キャンパス  米山敬子研究室(E-mail: takako-y@kansaigaidai.ac.jp)

【アクセス】 京阪電鉄枚方市駅北口より京阪バス「関西外大中宮キャンパス」バス停下車すぐ。 https://www.kansaigaidai.ac.jp/access/

              次 第

1)講演 「歌謡から見た大和舞」関西外国語大学 米山 敬子

2)解説 「新作能《大和椿》について」羽衣国際大学名誉教授 泉 紀子

3)実演  新作能《大和椿》より「大和舞」「神楽」の試演      

4)質疑応答

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日本歌謡学会創立60周年、おめでとうございます。

私たち新作能研究会は、

時代や国境を越えた人間の想いを、能の手法と世界観、日本の美意識によって表現し、

能として違和感がなく、演劇性と文学性を併せ持つ新作能を創作すること

創作に関しては、研究を表現のエビデンスにすること

新作能を通じて日本文化を国内外に発信すること

伝統文化と古典文学を継承・挑戦し、その訴求力を広く国内外に発信すること

をポリシーに、新作能《マクベス》、《オセロ》、《王昭君》を創作し、上演を重ね、その成果を出版してきましたが、この度、第4作目の新作能《大和椿》を試演させていただくことになりました。文化や学問の価値と質が厳しく問い直される今だからこそ一層、研究を深め、創作の継続を目指したいと思っております。試演の機会をいただきました日本歌謡学会に、厚くお礼申し上げます。

新作能研究会 代表 泉 紀子(羽衣国際大学名誉教授)

中尾 薫(大阪大学大学院人文学研究科准教授)

   藤原千沙(面打ち)

過去作品『新作能オセロ』後シテ使用面
   オセロの霊/黒平太

過去作品『新作能オセロ』ツレ使用面
   デズデモーナの霊/ぬばたま